大切な人が病気や怪我で苦しんでいるとき、私たちにできることは、心からの支援を送ることです。
お見舞いの封筒は、そんな時に温かな気持ちを伝える大切なツール。ただの封筒ではなく、思いやりと心遣いが詰まったメッセージを相手に届ける方法です。
でも、どのようにお見舞いの封筒を準備すれば良いのか戸惑うこともあるでしょう。
本記事では、その選び方から書き方、そして渡し方まで、適切なマナーを詳しくご紹介します。
- お見舞い封筒に名前を記入する重要性
- 名前と中袋の適切な書き方
- お金の入れ方と封筒の閉じ方
- お見舞い金額の目安と封筒の選び方
- 封筒を渡す最適なタイミング
これらのポイントを押さえて、お見舞いの際にも気配りを忘れずに行いましょう。
これで、お見舞いに関する疑問も解決し、相手にも好印象を与えることができます。
お見舞い封筒に名前を記載する必要性
お見舞いの封筒に名前を記入しないことは、一般的なマナーに反します。では、名前を記入しないとどのような問題が生じるのでしょうか？
日本では、何かを受け取った際にはそれに対する返礼を行う文化が根付いています。
特にお祝いや哀悼の場においては、後日お返しをするのが一般的です。
お見舞いもその例に漏れず、返礼の対象となります。
入院中や退院直後など、相手が多忙を極める時期にはすぐにお返しを考える余裕がないかもしれません。
後で落ち着いた際に、誰からのお見舞いだったのかを確認しようと封筒を見返す場面があります。
お見舞いの封筒に名前を記載しておくことは、相手が返礼をする際に誰に対して行うべきかを明確にするためにも重要です。
お見舞い封筒に金額を記載する理由
お見舞い封筒に名前を記入することが重要であるのと同様に、金額を記載しないのもマナー違反とされています。
親しい関係であれば、つい手渡しで済ませてしまったり、名前や金額を記入せずに封筒を渡してしまうこともあるかもしれません。
しかし、封筒に名前や金額を記入しないことは、相手に無用な負担をかける行為であり、適切なマナーに反します。
お見舞い封筒の書き方についてのガイド
お見舞いの封筒を準備する際、書き方に迷うこともあるでしょう。
ここでは、封筒の表書き、氏名の記入、中袋の書き方に焦点を当てて詳しく解説します。
封筒の表書き
封筒の表面には、中央上部に「お見舞」と記入します。
「御見舞」と書くことも可能ですが、「お見舞い」や「御見舞い」という表記は4文字になるため避けましょう。
4文字になるのがなぜいけないのかは後で解説します。
氏名の記入方法
「お見舞」の記載の下に、氏名を中央に記入します。
単独で名前を書く場合はそのままで良いですが、複数人で名前を記入する場合のルールもあります。
複数人の場合（3人まで）
3人までの場合は、右から年齢や役職が高い順に名前を記入します。
同僚や同級生の場合は五十音順でも問題ありません。
複数人の場合（4人以上）
4人以上の場合は、中央に代表者の名前を記入し、左に「外一同」と記述します。
全員の名前は別紙に記載し、同封することが望ましいです。
夫婦の場合
夫婦や家族でお見舞いをする場合、主に夫の名前を代表者として記入します。
ただし、夫婦共通の友人に対しては、夫婦連名で記入しても構いません。その際、夫のフルネームを右側に、妻の名前を左側に添えます。
相手の名前は書く？
封筒を直接相手に渡すため、お見舞い相手の名前は封筒に記入しないのが一般的です。
お見舞い封筒の中袋の記入方法
お見舞い封筒には、金額を記入する中袋が付属している場合があります。中袋には、中央部分に縦書きで金額を記入します。
金額を記入する際には、通常の漢数字ではなく、旧漢字（俗称「大字（だいじ）」）を使用することが望ましいです。
これは、通常の漢数字より書き換えにくいため、不正防止に効果的です。
金額の前には「金」という文字をつけることで、追加で金額が書き足されることを防ぎます。金額を記入する際の旧漢字の例は以下の通りです。
- 一（壱）
- 二（弐）
- 三（参）
- 五（伍）
- 七（七）
- 八（八）
- 十（拾）
- 百（百）
- 千（仟）
- 万（萬）
また、お見舞いの際には避けるべき数字もあります。特に「4（四/死）」、「6（六/ろくなことはなし）」、「9（九/苦）」は忌み数とされているため、これらの数字は使用を控えましょう。
お見舞い時には、花を含めた贈り物の数にも気を配ることが重要です。
お見舞い封筒や中袋が分離しないよう、裏面にも住所とフルネームを記入しておくと安心です。
また、封筒に書く場所が指定されている場合は、その指示に従って記入しましょう。
お見舞い金の封筒の正しい入れ方
お見舞いの際、お札の入れ方には細かなマナーがあります。正しい方法を学び、相手に失礼がないようにしましょう。
清潔なお札を使用する
使用するお札は清潔であることが求められますが、新札をそのまま使用するのは避けましょう。
新札には折り目がなく、事前に用意し過ぎた印象を与え、相手が不運を待っていたように誤解されることがあります。
新札を使う場合は、一度折り目をつけてから封筒に入れると良いでしょう。
お札の向きを正しくする
お札は肖像画が表側に見えるようにし、顔が上にくるように入れます。
これには、封筒を開けたときに金額が一目で確認できる配慮と、肖像画を上にすることで「一日も早い回復を願っています」という意味が込められています。
複数のお札を入れる場合は、すべてのお札の向きを統一することも大切です。
中袋を利用する
通常、お見舞い金は外封筒に直接入れるのではなく、中袋に包んでから封筒に入れます。
これにより、より丁寧な印象を相手に与えることができます。
中袋なしの場合のお札の入れ方
中袋がないお見舞い封筒を使用する場合も、お札の入れ方の基本は変わりません。
肖像画が表側で顔が上に来るようにして、封筒を開けたときにすぐに肖像画が見えるようにしましょう。
お札の取り扱いにはさまざまなルールがあるため、これらをしっかりと理解し、適切に行うことが大切です。
お見舞い封筒の金額相場と適切な品物
お見舞いの際に封筒に入れる金額は、通常、3,000円、5,000円、または10,000円といった奇数額に設定することが多いです。
以下は一般的な金額の目安です。
- 親族（親や兄弟など）: 5,000円から10,000円
- 友人: 3,000円から5,000円
- 職場の関係者: 3,000円から5,000円
社内で金を集める場合もあり、その際は事前に職場で確認すると良いでしょう。
地域による金額の違い
これらの金額はあくまで基準ですが、居住地域によって相場が異なる場合があるため、周囲の人と相談することが推奨されます。
上司へのお見舞い
上司に対しては、お見舞金を渡すことは避けた方が無難です。
これは、上から目線のように見えたり、「経済的に助けが必要」と誤解される恐れがあるためです。
上司には、お見舞い品を贈るのが一般的です。
現金を贈りたい場合は、封筒の表書きに「御伺い」と記載することで、その意図を明確にすることができます。
おすすめのお見舞い品
- 長持ちする食品（果物やクッキー、和菓子など）
- バスタオル
- 快適グッズ（イヤホン、アイマスク、ケア用品）
- 読み物（雑誌や小説）
贈る際は、食事制限やアレルギーを確認してから選ぶことが重要です。
また、品物の価格もお見舞い金額と同様に、相場を参考にして選びましょう。
高価すぎる品物は相手に負担をかけてしまうことがあるため、注意が必要です。
お見舞い封筒の選び方のコツ
お見舞いの封筒を選ぶ際に気をつけたいポイントは、紅白、熨斗（のし）、水引の3つです。
紅白無地の封筒を選ぶ理由
お見舞い封筒は、紅白の無地のご祝儀袋を選ぶのが一般的です。
お見舞いは良い出来事ではないですが、「一日も早く元気になって」という願いを込めて紅白の封筒を使用します。
熨斗は付けない
熨斗が元々持つ「伸ばす」の意味が、「病気が長引く」と誤解されることを避けるため、お見舞いの封筒では熨斗を付けないのが一般的です。
ただし、地域や風習によって異なる場合があるため、事前に確認することをお勧めします。
水引のない封筒を選ぶ
一般的に、お見舞い封筒には水引を付けないものを選びますが、どうしても付ける場合は、繰り返さない「結び切り」や、末長い関係を意味する「あわび結び」が適しています。
「蝶結び」のような再び結ぶ意味のある水引は避けましょう。
折り紙タイプの封筒の折り方
裏側が折り紙のようになっている封筒を使う場合は、下側の紙が上にくるように折ると良いです。
これは、「下から上に向かって、病気が改善されますように」という願いを表します。
適さない封筒の特徴
お見舞い封筒として不適切なものには、黒白や黄色、銀色の水引を使った封筒や、花結び（蝶結び）の水引がある封筒が含まれます。
これらは、病気が悪化するような意味に取られかねないため避けるべきです。
柄付きの封筒の使用
市販されている可愛らしい花柄の封筒もありますが、これらは親しい友人や親戚など、カジュアルな関係での使用が適しています。
ただし、上司や年配の方への使用は避けた方が無難です。
お見舞い封筒を書く際のペン選び
お見舞いの封筒に書くときは、どんなペンを使うかも大切です。
毛筆や筆ペンがおすすめで、ボールペンや万年筆はちょっと手抜きに見えてしまうかもしれません。
お葬式のときは薄い墨を使いますが、お見舞いは事前に日程を調整して準備ができるので、お見舞い封筒は「濃い色」で「はっきりと」書きましょう。
文字一つ一つに心を込めて、相手に気持ちが伝わるように書きましょう。
お見舞い封筒の渡し方とタイミング
お見舞い封筒を渡すタイミングは、お見舞いの言葉を述べた後、病室で手渡すのが一般的です。
でも、いつ病院を訪れるべきかは少し悩ましいところですね。
例えば、友達が入院したばかりでお見舞いに行きたいと思っても、相手が入院直後や手術後の場合は訪問を控えた方が良いかもしれません。
面会に最適なタイミングを逃さないためにも、事前に病院の面会時間を確認し、できれば患者さんやその家族と連絡を取ってから訪れると安心です。
事前に連絡を取ることで、相手の体調や状況を把握しやすくなり、訪問が相手にとって負担にならないよう配慮することができます。
まとめ お見舞い封筒の選び方、書き方、そして渡し方
この記事では、お見舞い封筒に名前や金額を記載する重要性や適切な金額の選び方、そして封筒の選び方について解説しました。
お見舞い封筒の基本的な書き方
- 表書き 上段中央に「お見舞」または「御見舞」と3文字で記入。
- 氏名の記入 封筒の下段中央に記入。
- 中袋の記入 金額を中央に縦書きで旧漢字を使用。
お見舞い金の相場
- 親族：5,000円〜10,000円
- 友人や職場の関係：3,000円〜5,000円
選ぶ封筒は紅白無地で、熨斗なし、水引はなしまたは結び切りが好ましいです
お見舞いを渡すタイミングは、相手の状況に応じて慎重に選びます。特に手術直後など体調が不安定な時は避け、事前に確認しておくことが大切です。
お見舞いは、「早く回復してほしい」という気持ちを込めて、適切なマナーで行うことが重要です。
