「隣の学区の学校のほうが近い」「仲のいい友だちがいる学校へ通いたい」こんな理由で学区外通学を考えている人、意外と多いかもしれませんね。
学区外通学は誰でも承認されるというわけではありません。
希望するときは、ちゃんとした理由と書類が必要です。
ですが、普段周りから聞くこともあまりないですし、どんな理由が認められるのか、どんな風に申請書を書いたらいいのか迷うこともあるでしょう。
「学区外通学」は「校区外通学」とか「区域外就学」と言われることもあり、地域によって呼び方が違うこともあります。
詳しいことは自治体のホームページで確認できますよ。
私が住んでいる地域では、「区域外就学承諾基準」に基づいて、状況が合った場合に限り許可される事になっていました。
この記事では、学区外通学が認められる具体的なケースや理由をご紹介します。
学区外通学が認められるケースをチェック
学区外通学が許可される具体的な理由にはどのようなものがあるのでしょうか。さっそく見てみましょう。
- 学年途中に引っ越した場合
- 隣接する学区へ引っ越した場合
- 改築など、一時的に別の場所に住むとき
- 学区外への引っ越しが決まっている場合
- 公共事業で立ち退きが必要になったとき
- 保護者が全員働いていて、学校終わりの監督者がいないとき(勤務地近くでの通学など)
- 特殊学級への入学希望がある場合
- いじめや不登校で精神的・身体的に負担を感じる場合
- 通学が困難な身体的な障害がある場合
- 地理的な理由で通学が困難な場合
- やむを得ない理由で住民票を移せない場合
- 兄姉がその学区外の学校へ通っている場合
- その他、教育委員会が特別な必要性を認めた場合
ほとんどの自治体で似たような基準が設けられていると思います。
どの理由も、「なぜ学区外通学を希望するのか」という明確な理由であることが重要です。
各家庭の事情を具体的に説明することで、申請がスムーズに進むことでしょう。
学区外通学、どんな理由で許可されるの?具体的な書き方を紹介!
学区外通学の申請では、理由の記入が必要な場合もありますよね。
そんな時のために、具体的な書き方をいくつかご紹介します。
引っ越しで学区が変わる場合
「転居することになったが、子どもの心情を考慮し、卒業までは現在の学校に通わせたい」
引っ越しで学校が変わるとき、特に上級生にとっては友人関係が大きな懸念ですからね。
保護者の就労で祖父母の家が近い学校へ
「共働きで、下校後は親族の家に子どもを預けるため、親族の家がある学区で就学させたい」
または、
「両親がフルタイムで働いているため、学童保育がある〇〇小学校への就学を希望」
保護者が働いていて家に誰もいない時間がある場合、学童保育の利用や親族のサポートが理由になります。
いじめが原因での転校希望
「我が子は現在の学校でいじめに遭遇し、学校生活が困難になっています。子どもの心の安定と新しい環境での再スタートのため、隣町の小学校への転校を希望します。」
いじめによる心理的な影響を考慮して、新しい環境での学び直しを求める場合も多いです。
「新校舎で勉強したいから」といった感じの、ちょっとした理由での学区外通学はダメです。
こんな場合は、その学校の学区内への引っ越しを検討しましょう
学区外通学の隠れたデメリットって?
学区外通学にはデメリットも存在します。
知っておくべきデメリットについても考えておきましょう。
① 通学距離が長くなる可能性
親の職場の近くなど、特定の理由で学区外の学校に通わせると、家から学校までの距離が長くなることがあります。
通学路が長くなると、子どもの疲労が増え、遊ぶ時間が少なくなることも考えられます。
② 通学時の安全が心配
学区外から通うと、下校時に同じ方向に帰る友だちが少なくなりがちです。
地域での見守り活動はありますが、学区外までカバーしてくれるわけではないので、子どもが一人でいる時間が増え、登下校時の防犯面が心配です。
③ 友だちとの交流が少なくなる
学区内なら友だちの家が近くにあるので、放課後の遊びに行きやすいですが、学区外だとそうはいきません。
帰宅する時間を考えると、なかなか友だちと長時間遊ぶのが難しいです。
保護者が送迎することで解決できる場合もありますが、それには保護者の時間と労力が必要です。
④ 子どもが感じる疎外感
学校での友情は築けるものの、登下校や放課後といった学校外の時間も子どもにとって大切なので、「仲間外れ」になってしまう感覚を持つ子もいるかもしれません。
「なんで自分だけ?」といった子どもの不満が出ることも。
学校や友だちから「どうして遠いの?」と聞かれると、子ども自身が上手く説明できない場合、孤立感を感じることがあります。
学区外通学のメリット
学区外通学の、大きな3つのメリットを紹介します。
① 通学距離が短くなることも
一見するとデメリットに感じる通学距離ですが、実は学区の境界近くに住んでいる場合、学区外の学校が近いこともあります。
そんなとき、わざわざ遠い学区内の学校に通う必要はないですよね。
学区外通学を申請すれば、もっと近くて通いやすい学校に変更できる可能性があります。
② より適した学校選びが可能
例えば、いじめ問題で現在の学校が合わなくなった場合、別の学区の学校に変わることで、子どもが再び学校生活を楽しむことができるようになるかもしれません。
同じ年代の友達と過ごす時間は、学校ならではの貴重な体験です。
少し遠くなるかもしれませんが、その変更が子どもにとってプラスに働くことも多いです。
③ 親戚の家から通学しやすくなる
「実家から通学が大変」「親が仕事で忙しくて家にいない」といった場合、学区外通学が許可されれば、親戚や知人の家から通学することが可能になります。
これにより、子どもの負担も減り、親も安心して仕事に専念できるようになるでしょう。
学区外通学、中学校はどうなる?
小学校で学区外通学をしていた場合、その後の中学校での学区はどうなるのでしょうか?
これは自治体や理由によって異なるため、一概には言えませんが、いくつかのポイントをお伝えします。
学区外通学の許可は「卒業まで」とされることがあります。
つまり、小学校で学区外通学をしていた子は、小学校を卒業するときに許可が終了します。
そのため、中学校でも学区外通学を希望する場合は、改めて申請が必要です。
ただし、学区外通学の申請理由によっては例外もあり得るので、詳細はお住まいの地域の教育委員会に直接確認することをお勧めします。
それぞれの事情に応じて、柔軟に対応してくれることもあるかもしれませんね。
小学校の「隣接校選択制」とは?どこでも利用できるの?
普通、住んでいる地域によって通うべき小学校が決まっていますよね。
でも、隣の学区にある学校へも通える「隣接校選択制」という便利な制度があるんです。
この制度があれば、特別な理由がなくても、隣接する学区の学校を選ぶことができます。
ただし、この制度は全ての地域で導入されているわけではないので、気になる方はお住まいの自治体に確認してみるといいでしょう。
最近では、以下のような理由で隣接校選択制を利用する家庭が増えています。
- 隣の学校の方が通学しやすい場合
- 部活動が充実している学校に通いたい場合
- 友達が多い学校に行きたい場合
隣接校選択制がある場合、希望の学校への申請は期限内に行う必要があります。
申請が受け入れられると基本的には隣接校に通うことができますが、希望者が多いと抽選になることも。
また、この制度は学校に入学する前にだけ適用されるので、一度入学してしまうと「隣の学校が良かった」と後から変更することはできません。その場合は学区外通学の申請が必要になります。
隣接校選択制が利用できる地域にお住まいの方は、どの学校が最適かよく考えて、入学前に適切な選択をしましょう。
まとめ 学区外での小学校通学、どんな理由が認められる?
学区外通学が許可されるかどうかは、住んでいる市町村教育委員会の区域外就学の基準によって決まります。
申請する際は、なぜ学区外通学を希望するのかを申請書に明確に記述しましょう。
学区外通学にはメリットだけでなくデメリットもあることを忘れずに。
特に、子どもにとって精神的な負担にならないよう、子どもの意見もよく聞いて、彼らが理解できるように丁寧に説明することが大切です。
子どもが学校生活をより良く送れるように、親子でしっかり話し合い、納得できる選択をしましょう。