「行きづらい」と「行きずらい」、どちらが正しい表現か迷ったことはありませんか?
日常会話やSNSでよく見かける「行きずらい」ですが、実は誤った表記です。
「行きづらい」は「行くのが困難である」「行くことに抵抗がある」といった意味を持ち、正しい日本語として辞書にも掲載されています。
しかし、「ずるい」という単語との混同や、発音の影響で誤用されることが多くなっています。
本記事では、「行きづらい」の意味や使い方、誤用の原因を詳しく解説し、正しい表現を身につけるためのポイントを紹介します。
行きづらいと行きずらいの違い
「行きづらい」の意味と使い方
「づらい」の意味とは?
「づらい」は、動詞の連用形に接続し、「~しにくい」「~するのが困難である」という意味を持ちます。
「行きづらい」は、「行くのが困難である」「行くことに抵抗がある」などのニュアンスを含む言葉です。
たとえば、目的地までの道が険しい場合や、心理的な要因によって特定の場所へ向かうのが難しい場合などに使われます。
また、「づらい」は「にくい」と似た意味を持ちますが、「にくい」が一般的な困難を示すのに対し、「づらい」は主観的な困難を強調する点が特徴です。
さらに、「づらい」は日常会話やビジネスシーンでも広く使われる表現であり、「見づらい」「聞きづらい」などと同じように、行動のしにくさを伝える際に役立ちます。
正しい用法を理解していれば、適切な場面で使い分けることができるでしょう。
どういう場面で使うのか?
「行きづらい」は以下のような場面で使われます。
- 物理的な障害がある(例:道が狭くて行きづらい)
- 例えば、階段が急で足場が悪い場合や、交通手段が不便で目的地にたどり着きにくい場合。
- 心理的な抵抗がある(例:元恋人のいる場所には行きづらい)
- 人間関係や過去の経験が影響し、その場へ行くことに対する気持ちの障壁があるケース。
- 社会的・文化的な要因(例:初対面の人ばかりで行きづらい)
- 新しい環境や慣れていない文化の中で、心理的に行動を起こしにくい状況。
- 例えば、ビジネスミーティングで馴染みのない業界の人が集まる場では、発言しづらいことがある。
このように、「行きづらい」は物理的な困難さだけでなく、精神的・社会的な要素も含む表現として広く使われます。
使い方を理解することで、より適切なコミュニケーションが可能になるでしょう。
「行きずらい」は誤用?
なぜ「ずらい」と書いてしまうのか?
「行きずらい」は、「行きづらい」の誤表記です。間違いやすい理由として、
- 「ずるい」という言葉と混同してしまう。
- 「ずるい」は一般的な形容詞であるため、「行きずらい」と誤って書いてしまうことがある。
- 発音の影響で「ず」と「づ」が混同される。
- 口語では「ず」と「づ」の区別が曖昧になりやすく、特に日本語の方言や話し言葉では誤用が生まれやすい。
- 「見づらい」「聞きづらい」など他の類似表現の影響。
- 他の「づらい」を使う言葉と一緒に誤認識されることが多い。
- SNSやネット上では「行きずらい」という表現が誤用として広まりやすい。
また、日本語の変化の過程において、間違った表記が広まることで、次第に「行きずらい」という表現が使われる頻度が増えているという指摘もあります。
正しい日本語を意識することが大切です。
間違った使い方の例
✕ 電車が混んでいて行きずらい。
◯ 電車が混んでいて行きづらい。
✕ 彼の家は遠くて行きずらい。
◯彼の家は遠くて行きづらい。
✕ この文章、読みずらい。
◯この文章、読みづらい。
これらの表現は正しくは「行きづらい」となります。
誤用しないよう、日頃から正しい表記を意識することが重要です。
どちらが正しいのか
「行きづらい」が正解
辞書に載っているのはどっち?
「行きづらい」は国語辞典にも載っている正しい表現ですが、「行きずらい」は誤用として扱われます。
また、辞書の用例を見ると「見づらい」「聞きづらい」と並んで使用されているため、一貫性があることが分かります。
「行きづらい」は、書籍や公的文書でも頻繁に使われるため、正式な表現として広く認知されています。
文法的に正しいのはどっち?
「づらい」は「~しにくい」という意味を持つ接尾辞で、動詞の連用形に接続します。
「行きづらい」もその規則に従った形です。
一方、「ずらい」という表現は文法的に正しくないため、使わないようにしましょう。
文法の観点からも、「行きづらい」を正しい日本語として使うことが推奨されます。
なぜ「行きずらい」と間違えやすいのか
「ずるい」と混同されやすい
「ずるい」という言葉が存在するため、「づらい」も同じように「ずらい」と書いてしまうケースがあります。
「ずるい」は形容詞ですが、日常会話の中で「ずらい」と誤用される影響を受けることが少なくありません。
また、誤用が広まる要因として、会話の流れの中で「ずらい」の発音が自然と使われやすい点も挙げられます。
特に口語では、間違いに気づかずにそのまま使ってしまうことがあるため注意が必要です。
発音の影響による間違い
口語では「ず」と「づ」の発音が区別されないことがあり、それが誤表記につながることがあります。
また、地域によっては「ず」と「づ」の発音がより近くなるため、誤解が生じやすくなります。
さらに、近年ではSNSやインターネット上で誤用が広まりやすくなっています。
カジュアルな文章では誤った表記が増えがちであり、これが正しい表現として認識されてしまうこともあります。
こうした影響を受けないよう、正しい表現を意識して使うことが重要です。
言葉の成り立ち

動詞「行く」の活用
「行き」は動詞「行く」の連用形です。
「行く」自体が移動を表す動詞であり、その上に「づらい」がつくことで「行きづらい(行きにくい)」という意味になります。
「行く」は「来る」と対になる動詞であり、日常会話や書き言葉の両方で頻繁に使用される単語です。
そのため、その活用形である「行き」と後続する言葉の組み合わせには注意が必要です。
特に、「行きやすい」「行きにくい」との使い分けを意識することで、適切な表現を選択することができます。
「づらい」について
「づらい」は動詞の連用形に接続し、「~しにくい」という意味を持ちます。
この表現は、物理的な困難だけでなく、心理的な障害をも表すことができる点が特徴です。
例えば、「言いづらい」は心理的な抵抗を、「見づらい」は視覚的な障害を、「書きづらい」は作業の困難さを表します。
「づらい」は「にくい」と似た意味を持つものの、より主観的な感覚を強調する役割を果たします。
「にくい」との違い
「にくい」も「~しにくい」という意味を持ちますが、「づらい」は主観的な困難さを強調するのに対し、「にくい」は一般的な困難さを指します。
例えば、「歩きにくい」は道が滑りやすいなど物理的な理由で歩くのが困難な状態を指し、「歩きづらい」は気まずい雰囲気や心理的な負担によって歩くのが困難であることを示します。
このように、「づらい」は心理的な負担や感覚的な障害を伴う場合に使用されることが多いのです。
なぜ「ずらい」と勘違いするのか
「見づらい」など他の言葉との関連
「見づらい」「聞きづらい」などの表現と混同し、間違えて「行きずらい」と表記することがあります。
これらの言葉の誤用は、SNSやブログなどのカジュアルな場面で特に目立ちます。
また、誤表記が一定数見られることで、それが正しい表現であるかのような誤解を招くこともあります。
そのため、正しい表記を意識することが重要です。
口語での発音と誤解
口語では「づらい」も「ずらい」もほとんど同じ発音になりやすいため、誤表記が生まれやすくなります。
特に、日本語では「ず」と「づ」の発音が曖昧になることが多く、発音の影響で書き間違えるケースが多発します。
また、日常会話では無意識に発音しているため、書き言葉で誤記してしまうことがよくあります。
正しい表現を習慣づけるためには、辞書での確認や、意識的に正しい表現を使う努力が求められます。
日常会話での使用例
「行きづらい」の使い方
フォーマルな場面での例
- 「お店の場所がわかりにくくて行きづらかったです。道順を教えてもらったのですが、入り組んでいて何度も迷いました。」
- 「あの上司には意見が言いづらいですね。過去に厳しく指摘されたことがあるので、発言するときはとても緊張します。」
カジュアルな場面での例
- 「元カノがいる飲み会は行きづらいなぁ。気まずい雰囲気になりそうだし、周りの友達の目も気になるから、できれば避けたいよ。」
- 「この道、狭くて車で行きづらいね。特に夜は暗くて見えにくいし、大型車が通るとすれ違いも大変だから、なるべく別のルートを探したほうがいいかもね。」
「行きずらい」はどこで使われる?
誤用が広まっている場面
SNSやブログなどでは誤用が見られますが、正しくは「行きづらい」と書くべきです。
特にインターネット上では誤用が目立ち、それが広がることで間違った認識が定着しやすくなっています。
SNSでの間違いが目立つ理由
発音の影響や、他の間違った表現が広まることで「行きずらい」が誤用として定着してしまうことがあります。
特に短い文章で伝えるSNSでは、音のイメージだけで単語を表記してしまうことが多く、誤用が増える傾向にあります。
間違った使い方の例
メールやビジネス文書での誤用
✕「お忙しいところ申し訳ありませんが、今週は会議に行きずらいです。予定が立て込んでいて、調整が難しいです。」
◯「お忙しいところ申し訳ありませんが、今週は会議に行きづらいです。予定が立て込んでおり、調整が難しい状況です。」
話し言葉で誤用するケース
✕「あのイベント、遠くて行きずらいよね。天気が悪いから、移動も面倒だし…。」
◯「あのイベント、遠くて行きづらいよね。天気が悪いし、交通の便も良くないから行くのを迷うよ。」
正しい言葉の選び方
状況に応じた使い分け
フォーマルな場では正しい表記を
公的な文章やビジネスシーンでは「行きづらい」を使用しましょう。
特に、公式な文書やメールのやりとりでは誤用を避けることが求められます。
例えば、顧客対応や契約書などの重要な文書では、正確な言葉遣いが信用に直結するため、「行きずらい」と書かないように注意しましょう。
話し言葉ではどうする?
話し言葉でも、できるだけ「行きづらい」と正しく使うことが望ましいです。
日常会話では誤用が許容されることもありますが、正しく使うことでより洗練された印象を与えることができます。
また、教育現場やビジネスの場では、間違った表現が定着しないように、正しい言葉遣いを意識することが重要です。
誤用を避けるために
日常的に正しい言葉を意識する
普段から正しい言葉を使うように意識しましょう。
例えば、文章を書く際に一度見直して、「行きづらい」と「行きずらい」のどちらが正しいかを確認する習慣をつけることが有効です。
また、家族や友人との会話の中でも意識的に正しい表現を使うことで、誤用を防ぐことができます。
間違いやすい単語とセットで覚える
「見づらい」「聞きづらい」などと同じルールで「行きづらい」と覚えると、誤用を防ぎやすくなります。
また、「~しにくい」と言い換えられるかどうかを考えることで、「づらい」が適切かを判断しやすくなります。
例えば、「行きづらい」は「行きにくい」に言い換えられますが、「行きずらい」は意味を成しません。
このように、類似表現と一緒に考えることで、正しい言葉を使えるようになります。
言葉の正確性を保つために
辞書で確認する習慣をつける
疑問に思った言葉は辞書で確認し、正しく使うようにしましょう。
特に、ビジネス文書や公式な文章を作成する際には、誤用を防ぐためにも辞書を活用することが大切です。
スマートフォンの辞書アプリを利用すると、手軽に言葉の意味を確認できます。
誤用に気づいたら正しく言い直す
もし誤用してしまった場合は、すぐに正しい言葉に言い換える習慣をつけることが大切です。
例えば、誰かが「行きずらい」と言った場合に、「行きづらいが正しいよ」と教えてあげることで、自分自身の理解も深まります。
誤用を訂正することに抵抗を感じるかもしれませんが、相手の言葉の誤りを優しく指摘することは、正しい日本語の普及にもつながります。
まとめ
「行きづらい」は「行くのが困難である」「行くことに抵抗がある」といった意味を持つ正しい表現であり、物理的・心理的・社会的な障害を含む場面で使われます。
一方、「行きずらい」は誤表記であり、「ずるい」という単語との混同や、口語での発音の影響によって間違えられることが多いです。
正しい表現を意識するには、「見づらい」「聞きづらい」との共通点を理解し、辞書で確認する習慣をつけることが有効です。
適切な言葉遣いを心がけることで、より明確で正確なコミュニケーションが可能になります。